日本リフレッシュ研究所
発想の転換その5
錦鯉専門誌「鱗光」2005年新年号掲載

池の水源は?
 1 沢水・湧き水・川水
  沢水・湧き水・川水などで、下記のような質問が多く当方に寄せられます。一見とても綺麗な水で錦鯉を飼っているのに・・・また、流れる水は腐らないというのに・・・なぜでしょうか。
池への質問1   涌き水20L/minで飼っているが、深さを1.2m位にして水量を増やし水温を安定させたい。 夏場の藻の発生を抑え、透明度を上げたい。
池への質問2    沢水が池へ流れるようになります。 浄化槽をいれないといけませんか。
池への質問3     濁っていること、かすかな湧き水があるのですが。
池への質問4     川の水を引いていて底打ちをしていないので鯉が見えにくい。
池への質問5    現在は沢水を掛け流し状態にしています。錦鯉を育ててみたいので、改造する必要があります。20年程前に、沢水で錦鯉を飼っていたことがありますが、酸欠で全滅しました。


掛け流しているのに・・・
 多くの方は、豊富な水をオーバーフローでかけ流しているのではないでしょうか。川や海でも表面の水が動いていれば、底の水間で全部同じように動いていると思いがちです。しかし、掛け流しの場合には、上水・底水・によって、大きな違いが有るのです。

飲んでも良いほど純粋な水なのに・・・
 清き水に魚住まずといって、川魚・海水魚などと違って、錦鯉にははっきり違った水作りが必要なのです。 まして、掛け流しの水では、一見透明な澄んだ水でも、錦鯉の健康や色彩を奪ってしまうことになります。

海水魚・熱帯魚・また同じ淡水魚でも、それぞれ住む環境と水は違う。
 錦鯉の発祥の地は、今度大きな地震に襲われた山古志や十日市・川口町・小千谷・長岡など、コシヒカリというお米のおいしい土地の水田をつぶした土池で作られます。要するに、土質が違っているのです。水温などもさることながら、骨格のしっかりした、肌の美しい錦鯉の親鯉は、しっかりした土質の土池で生まれました。単なる、透明な水という考えでは、錦鯉を見ることはできても、育てることは出来ません。
 
 2 井戸水
 池への質問1       和風庭園の底がコンクリートの池で全体に浅く、40cm〜30cmの深さなので水温が今年の夏で朝27度〜昼間30度ぐらいまで上がります。今年の春に造園業者さんに70cmの深さの穴(井戸のような)を3箇所掘っていただいて池の補修をかねてしました。 備長炭を1.5m程ひいた所へポンプで上げて滝として水を落としています。また、バケツぐらいの水瓶に備長炭をいれてポンプで上げています。ウォータークリーナーもまわしています。水道の水も結構使っていますが水がきれいになっているのか心配しています。
池への質問2       深さが足りないためか鯉が大きくならない。水はきれいだが墨が抜ける。地下水のため、水が堅い。アルカリ。

 井戸水の場合、本当に良い水に当ったという運の良い方もいますが、鉄分が多いとか成分的にかたよりがちで、水質が一定していません。また、井戸水は周囲の環境によって、変化しますので、常に気を付けなければなりません。まして、井戸を掘ることができない場合がほとんどです。
 3  水道水
 池への質問1       私の祖父が30数年前、池を作りました。が、すぐに冬の寒さでコンクリートが割れ水が漏ってしまいました、2度ほど補修したのに、うまくいかず父があきらめて土砂をいれてそれきりになっていました。今夏土砂を、全部出しました。いずれにしても補修をしなくてはいけませんが、水のきれいな池にしたいと思っています。 きれいなわき水がなくても、本当にいい水ができるのでしょうか。
池への質問2       夏はほとんど緑色です。冬は寒くて表面が2Cm位凍ってしまいます。


 このように考えれば、水道水のほうが、安心して十分に錦鯉を飼うことが出来ます。もちろん、何度も述べているように錦鯉のための水作り、池作りをしてあげることが第一条件です。そのポイントについて簡単に下記の論壇で示唆しておきます。


 たとえば、水族館の飼育水槽の中に、往々にしてクセのある水槽があり、ここでは水底に住む生き物たちの健康がすぐれず、徐徐に弱り、死亡率が高いそうです。この原因はディスプレーのための岩組みや窪みなどによって、水槽内の下層水が部分的に停滞しているためであり、このよどんでいる水は、時間がたつにつれて、溶存酸素量が欠乏していき、アンモニアのような有毒物質がたまって、生存不能の環境になってしまうからです。
 このような水槽でも、隅々まで新鮮な水が、流れるように改良さえすれば、薬を使う必要はなくいきものたちは元気で過ごすことが出来ます。大量の水が給排水されている水槽では、このことに注意していてもまさかと思って見逃してしまい、死亡原因は何であろうかと、頭を悩ますことが珍しくないのです。
(1992年12月21日朝日新聞論壇から抜粋)
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