『五周年特集号発刊によせて』 会長 伊藤久雄
我ユースホステルグループは昭和三十六年に誕生して、今年で五年目を迎へます。その間ここまでこのグループを育て上げて下さった諸先輩、さらに有形無形の御助力を戴いた方々に心から感謝致します。
さて本号は、過去四年間の当グループの発展の跡をふり返り、それを大方に知って戴くと共に、グルーブ員後輩諸君の今後の道標にしていただこうとの考えで編まれたものです。流動するメンバー、方針に底流する不易なものを汲みとっていただけたら幸いです。 この運動はともすれば単なる楽しみ事に終り易いと云う欠点をもっているように思われます。楽しみの追求が悪いとは敢て申しません。しかし我々が単なる楽しみの追求に終るのは、断じて良いことではありません。この運動は、一つの人格向上のチャンスを与えるものであるとも理解できます。我々が自然の中に入り込み、唯単にその美しさに目を奪われていてはなりますまい。それを観照することによって逆に自分自身を知り、何物にも惑わされることのない確固たる、ものの見方を養わねばならぬと考えます。次々と現われてくる物事に対し適確なる判断を下す〃眼〃、その透徹した目をこそ養わねぱなりません。「おぼっこ」の創刊号で橘先輩は自主独立の精神を強調されました。これも亦、自然観照の中にこそ生れ出てくるものではないでしょうか。さらに亦、この運動を見渡す時、我々は様々な疑問をも、その長所とともに感ぜざるを得ません。そしてそれ故に我々はその改善、改革の意気をも感じます。我々は四年間の基盤の上に今年は、この多面的な運動の我々の納得のいく面を強調し、単に参加するに止まらず、自ら積極的に推進しようとして居ります。 ユースホステル運動が日本に紹介されて十五年、今一つの転換期を迎へたのと時を同じくして、五年目の当グループも緩やかながら変化をみせて居ります。毎年構成員と運営者が入れ換るグループに於いては、その変化を誤りなく導く為に、高い展望が必要であり、今、正にそれが要求されて居ります。ユースホステル運動の実践を事とするグループに於けるサークルの使命、さらにサークルから何を引き出し得るかという自身の問題等一度このときにあたって考えてみたいものです。我々は幸いに、深くグループを考え、最大限にグループから引き出して卒業された多くの先輩を知っています。そして共通しているものはグループに対する熱情と愛着であることも我々は知って居ります。そしてこれこそ問題を解く鍵であると思われます。 五年と云う年月は我グループにとっては大きなものでした。発足当時十数名に過ぎなかったグループ員も、今は早や優に百名を越え、ホステリングにも多人数故の悩みさへ託つ昨今であります。 今改めて諸先輩の御努力をしのび、かつはまた、当グループに対し多大なる御尽力と、少なからざる御期待をおかけ下さる方々を思い、運営の任にあたるものの一人としてひとしお身のひきしまる思いが致します。 我ら五才のオボッコ、生みの親、育ての親に対し、重ねて深甚なる感謝の意を表し、併せて今後の御指導をお願い致す次第です。 |
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